「最後の観覧車」
浅葱色の毛布を掛けて眠るとき淋しい海辺に立っている夢
馬車じゃなく電車が迎えに来る朝に脱げたサンダル自分で拾う
咲くことのないまま枯れたバラの木が手のひらに残す切り傷ひとつ
息苦しいほどにグリーンを繁らせてそれでも酸素の足りない部屋で
擦り切れる事を知らないエンドレスリピートだから立ち上がれない
くっついてしまったジェリービーンズをそのまま食べてあげる優しさ
フレームへ収まりきらない風景に色鮮やかに責められている
昼休み聞こえるヘリコプターの音 心を遠くへ運びだす音
人ごみのなか立ち止まり目を閉じる(いつか無人にこの街はなる)
(地球上最後の観覧車が止まりシズカナシズカナ夜ヲ迎エル)
(ハモニカに似た音たてて軌道からはずれた人工衛星の旅)
(ツキホタル飛び交う川辺 あの青い星で過ごしたいくつかの夏)
魔法から解かれてみんな歩き出す メデューサの血の色の信号
完成図なんて知らずにそれぞれがジグソーパズルをはめこむ夜更け
気がつけば降り出した雨 モノクロの映画の曲と滲んで溶ける
学校が沁み込んでいる 宿題を忘れた夢で目を覚ます朝
濃いコーヒー淹れて始まる朝に慣れ大人になってもささやかな日々
いつもよりバスは遅れてそれだけで変わってしまう運命もある
街角のあちらこちらで光るのは大事な手紙を抱えたポスト
温かな雨も降るから 植物はすべての空を愛して育つ